Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9672 caratteri · 20 schermate
仙千代も隼人も、乳母たちに添ってよく眠っていた。有明の燈かげにふたりの子の寝顔を見まもっていると、やがて温かなおちついた気持がわいてき、それがしぜんと良人のうえにつながるのだった。
――留守の心得をおきかせ下さいまし。
出陣のまえにそうたずねたら、信之はいつもの穏かなこわねで、――忍緒を切った心でいよ、と云った。兜のしのびの緒を切るとは、討死ときめたときのことである、ふだん意味のはげしい言葉を嫌う良人にしては、めずらしく強いひびきをもっていた。しかも平常と変らない、穏かなこえ、温かいしずかな眼もとだった、松子はいまそのときの良人のおもかげを偲びながら、――そうだ、手紙を書いてしまわなければ、と思いつき、そっと立ちあがった。するとそれを待ってでもいたように、「おたあさま」と仙千代の呼びかける声がした。ふりかえると眼をあいてこちらを見ていた。
「どうしました、お眼がさめましたの」
「いまおじいさまが来たでしょう」
はっきりした口調でそう云った。
「おじいさまとは、どのおじいさまです」
「おじいさまですよ、お髪の白い、お背の小さいおじいさまですよ、仙千代を抱きに来たと仰しゃったのに、おたあさまは……」