Classici giapponesi con furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Leggi 日本婦道記 (にほんふどうき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.091 caratteri · 30 schermate
小出というその名は平之丞を強くおどろかし、かつて松井家の庭で語られた藩家の秘事や、そのとき聞いた小十郎の死の原因なとがまざまざと思いだされた。
「……父は右衛門太夫さまがさる貴い方の御胤だということをもれ聞きました、一徹の気性から繰返し殿さまに御諌言を申上げました、事実は根もない噂だったのでございましょう、血すじに就いてあらぬことを申すと厳しいお忿りを蒙り、生涯蟄居の重い咎めを仰せつけられました、そのとき、父はよろこんでおりました、御血統の正しいことが明らかになれば自分の一身など問題ではない、これで浪人から召し立てられた御恩の万分の一はお返し申せる、そう云いまして、不敬の罪をお詫びするために切腹致しました」
「…………」
「さむらいとして、決して恥ずかしい死ではないと存じますが、重科はどこまでも重科でございます、こなたさまの妻になって、もしもその素性が知れましたばあいには、ご家名にかかわる大事にもなり兼ねません、どんなことがあっても嫁にはなれぬ、そう思いきめまして」
お石はそこで言葉を切り、片手の指でそっと眼がしらを押えた。この告白は平之丞の心をはげしく打った。