Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 13.809 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

私はいきなり母の前に坐って

「母様、どこか旅させて下さいまし」

まのぬけたような調子で云った。

「またはじまった」

と笑ってとりあってくれない。自分も一緒に笑いながら口のはたが変な工合に引きつれるような気がして私はなき笑をして居た。

落つかないフラフラした糸のきれたフーセンみたいな気持は御ひる前いっぱいつづいた。私は机にすわっていろんな人の紀行文や名所話なんかをよんで自分が出かけたような気持になって居た。

御ひるはんの時、「男だったら、どこへだって出られるんだけれども」とこんな事をかんがえながら、夢中でラッキョーの上にのって居たまっかいとうがらしを思いきりよく頬ばってしまった。口の中と目玉はひっくりかえりそうになってくしゃみが出はじめた。

「下らない事をかんがえ込んで居るからさ」

母はニヤニヤしながら、私のちんころがくしゃみしたようなかおを見て居る。この唐がらしは随分見っともいいかおになったけれども私の頭をはっきりとさして呉れた。もし御ひるにこれがなかったら、私は一日中旅に出たい、と云う病気にとりつかれて居たかも知れない。

御ひるっからは私の頭が大変しずかになったんで、徳川時代を書く事と「聖書」