Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate
虎の血と、蛇と――もひとつ……」
猛獣の血と蛇の何かと、もひとつのものを乾し固めて粉にしたのを持って来て、分量はとにかく、八十上の老女に飲ませようとしたガムシャラな勇気におどろいてしまった。
肝心なおばあさんはモガモガこんなことを言った。
「とろけてしまうなんて、まるで惚れたようで意気ですこと。おやっちゃん、あたくしゃ葡萄酒でのみましたよ。」
なにしろ死んだら牛肉のおさしみを仏壇へあげてくれという人だったから、私は驚きもしなかった。
一年ばかりたった夏の朝、私の寝ている茶座敷の丸窓を、コツコツ叩くものがある。戸を一枚ひくと、老人が、
「ばあさんがどうも変で――」
そう言ったなり、竹箒をひいて、さっさと木の間にかくれて去ってしまった。
暁闇が萩のしずれに漂っていた。小蝶が幾羽もつばさを畳んで眠っていた。離家の明けてある戸をはいってゆくと、薄暗い青蚊帳の中に、大きな顔がすっかりゆるんでいた。
も一足早ければ、何か秀逸な遺言を残したであろうに――枕許に、まだよく色つかぬ柿が、枝のまま籠に入れてあった。おじいさんの心づくしであったろう。
老妻が歿くなると、老爺さんの諦めていた硫黄熱がまた燃てきた。