Classici giapponesi con furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Leggi 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) di 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 158.045 caratteri · 322 schermate
ヴィオリンの音や、ピアノや、オルガンの音をはじめて耳にしたのも伯母さんの住居へとまりにいったからだった。そのころ下町でそんな音色も、楽器も知っているものはなかった。あんぽんたんは外国の匂いを、ここではじめて嗅いだのだ。なぜなら神田は学問をする書生さんの巣窟であり、いまでいうインテリゲンチャの群である。帽子をかむった人なんか、めったに見ない下町ッ子は、通る人がみんな白金巾の兵児帯をしめているのに溜息した。夕方は下宿屋の二階三階に、書生さんたちが大勢てすりに腰をかけていた。私は女がそういうふうをしているのを新宿(妓楼)で見たことを伯母さんにはなした。
南校の原でバッタやオートをつかまえて、牛が淵でおたまじゃくしを掬った。従弟とおまっちゃんと三人で、炎天ぼしになって掬ったが、入ものをもたないで、土に掬いあげたのはすぐ消たように乾かたまってしまった。三人は唾をした。川の水に唾をして唾が散れば肺病ではないと、なにが肺病なのかよく知らないのに、幾度も幾度も唾を吐いた。すぐに散ってしまうと手を叩いて歓声をあげる。
帰ると盥を出して水をあびる。溝に糸みみずのウヨウヨ動いているのを見つけて、家の金魚のおみやげだと掻廻す。