Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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そうしゅん

早春

豊島 与志雄

Leggi 早春 (そうしゅん) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9457 caratteri · 20 schermate

Aozora Bunko

春先のせいかな。

おれはいつものように、生魚を少し北川さんへ届けた。裏口からはいって、台所へ声をかけたが、返事がない。なんども呼んでいると、庭の方から北川さんがやって来た。作業服みたいな姿で、地下足袋をはいている。

「ああ、君か。よく来たね。」

おかしな挨拶だが、その訳はすぐに分った。北川さんは魚をしまってから言った。

「今、君は暇かい。」

「なんか用ですか。」

「よかったら、ちょっと手伝って貰いたいんだが……。」

梅の木を植える手伝いだった。物置小屋を廻ってゆくと、鍵の手になってる建物が、わりに広い庭をかかえている。庭師の手にかけた庭ではないが、百日紅や野薔薇や八手や檜葉や椿などが、広場の向うを限っている。その片端のところに、穴が掘りかけてあり、大きな梅の木が塀に立てかけてあった。背は低いが、手入れの届いたみごとな古木で、散り残った花がまだ少し残っており、根廻りを大きく取ってあって、北川さん一人ではとても扱えそうになかった。そこへ持ち込むにも、板塀を越させたんだろう。

「いい木ですねえ。どうしたんです。」

「貰い物なんだ。」

茶の間とおぼしい方の縁側に、まだ学生でもあろうかと見える青年が腰掛けていた。