Classici giapponesi con furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Leggi 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.208 caratteri · 52 schermate
「一度もない」
「矢の数は算えることがありますか」
「一年かかって三十本の神の矢ができるようになっている。多くも少くも造ることはできないのだ」
「現に一本足りないではありませんか」
天狗は返答しなかった。要心深く一同の顔を見廻しているだけであった。
一行は天狗に別れて山上のホコラへ行ってみた。ホコラの中は額や絵馬の代りに猿田の面でいっぱいだ。中へ納めきれないのが、外側にもたくさんぶら下ッていた。面は少しずつちがっていた。作者がちがうのだろう。自作の面を納める習慣だという。
新十郎が先に立って一同は岩づたいに谷の方へ降って行った。
「ほら。そこにも、ここにもある、誰の目にも行方を知ることのできない筈の神の矢が」
「なるほど」
花廼屋がうなった。すると新十郎は矢をとりあげて、
「落ちている矢は誰でも拾うことができるが、蛭川真弓を刺し殺した矢は、風雨にさらされた古物ではありませんでしたね。仕事場の箱の中から盗まれた一本ですよ。しかし、入口の戸も窓の戸もない土間に置かれた矢の箱から一本の矢を盗むのは、谷底へ降りて一本の矢を拾うよりもカンタンで面倒がないでしょう。誰でも盗むことができる」