Classici giapponesi con furigana
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ほしじょろう
星女郎
泉 鏡花
Leggi 星女郎 (ほしじょろう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.344 caratteri · 104 schermate
この畜生、仔細は無いが、思いがけない、物珍らしさ。そのずんど切な、たらたらと濡れた鼻頭に、まざまざと目を留めると、あの、前世を語りそうな、意味ありげな目で、熟と見据えて、むぐむぐと口を動かしざまに、ぺろりと横なめをした舌が円い。
その舌の尖を摺って、野茨の花がこぼれたように、真白な蝶が飜然と飛んだ。が、角にも留まらず、直ぐに消えると、ぱっと地の底へ潜った状に、大牛がフイと失せた。……
失せた……と思う暇もなしに、忽然として消えたのである。
「や!」
声を出して、三造はきょとんとして、何かに取掴まったらしく、堅くなってそこらを捻向く……と、峠とも山とも知れず、ただ樹の上に樹が累なり、中空を蔽うて四方から押被さって聳え立つ――その向って行くべき、きざきざの緑の端に、のこのこと天窓を出した雲の峯の尖端が、あたかも空へ飛んで、幻にぽちぽち残った。牛頭に肖たとは愚か。
三造は悚然とした。
が、遁げ戻るでもなし、進むでもなく、無意識に一足出ると、何、何、何の事もない、牛は依然としてのっそりと居る。
一体、樹の間から湧いて出たような例の姿を、通りがかりに一見し、瞻り瞻り、つい一足歩行いた、……その機会に、件の桃の木に隠れたので、今でも真正面へちょっと戻れば、立処にまた消え失せよう。