Classici giapponesi con furigana
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はるさきのこぶつてん
春さきの古物店
小川 未明
Leggi 春さきの古物店 (はるさきのこぶつてん) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3911 caratteri · 8 schermate
どうです、私は、それほどのお気にいりであったのでした。そのうちに、坊ちゃんが生まれました。坊ちゃんが三つのとき、なにかのはずみにあやまって、私の角で頭をお打ちになったのです。すると、気の短いご主人は、なにか私が悪いことでもしたように誤解されて、前後の考えもなく、腹だちまぎれに、私の四すみの角をみんな小刀で削り落としてしまわれました。そのときから、私は、こんなかたわ者になったのです。それからというもの、私は、なにかにつけて手荒く取り扱われましたが、しまいに、大きくなった坊ちゃんのために、またこんなに面にまで傷をつけられてしまいました。しかし、それまでの、長い間の栄華な生活を思い出せば、私は、しあわせのほうで、なにも、うらむことはないのであります。」と、机は答えました。
張り板は、なんと思ったか、あざ笑いました。
「あなたが、こんなように、角を削り落とされずにいたなら、ここへは、まだおいでにならなかったでしょう……。みんな、運命というもんでしょうね。」と、乳母車がいいました。
「うらむ、うらまないといって、もう二度と君は、栄華の日を見ることはあるまい。」