Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はるのやま

春の山

久生 十蘭

Leggi 春の山 (はるのやま) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8782 caratteri · 18 schermate

Aozora Bunko

気にいったのをチョロまかしてやる。今日は家に居ねえはずだから、都合がいいんだ」

行こうといいかけたが、歪んだところ、やりそくなったところが面白いので、こんなよくできた出来損いなど、いくつもあろうはずはない。

「おめえは煮えきらないから嫌いだよ。なんぼおれでも、叔父貴のいるところじゃ、仕掛けがきかねえ。善は急げだ。立ちなよ」

由さんがしつっこく絡みついたあたりから、なにかあるなと思っていたが、吉青年の誘いかたがはげしいので、それで、はっと行きあたった。

「ちょっと伺うがね、どうして、みなでおれを外へひっぱりだしたがるんだ」

周平がひらきなおってそういうと、吉青年は虚をつかれて、

「おれが、どうしたというんです。なにをいってるのか、ちっとも、わかんねえや」

と、しどろもどろになった。

「おれがここにいると、ぐあいの悪いことがあるらしいな。そうじゃないのか」

「先生がここに居たからって、べつに、どうということはねえです」

「そんなら家にいる。横須賀へ行くのはやめた。六さんと由さんに、そう言っておけ。先生は、当分、家から出ないそうだって」

「こいつは弱ったね」

「おれが家にいたって、吉あんちゃんが困ることはないだろう」