Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
はる
春
岡本 かの子
Leggi 春 (はる) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.864 caratteri · 48 schermate
京子は狂っても矢張り狂った花であった。美しさは褪せても一種幽美な気違いの憐さがあった。加奈子は京子の憂鬱や偏執に困らされても、悪どい悲惨極まる生活には陥されるようなことはなかった。見当違いや、煩わしさや、憂鬱や偏執に、「我」も「根」も尽き果てようとする時、加奈子は、不意に、京子のその半面の気違いのロマンチックに出遇う。――今年うちの梅に水晶の花が咲くと言い暮して居た京子が、本当の梅の花が咲いても、水晶の梅だと言い切って、花のこぼれるのを惜しがり、緑色絹絞りの着物の上に、黒地絹に赤絞りの羽織を着、その袂で落ちて来る花を受けて、まだ寒い早春の戸外で半日でも飽きずに遊んでいる。毎日々々それが続いた。「美しいな」と見惚れて加奈子は、なんだ、気違いになった京子までを享楽してはならないぞと、自分で自分の心を叱る声を聞いたことがあった。京子は気違いのくせに色の鑑識などもよく判った。京子のねだる着物を加奈子が買って遣れば、それは本当に京子によく似合った。加奈子が夜の外出に、黒いソアレを着れば、緋のフランスチリメンで早速花のようなものを造って呉れた。玄人の造った造花でないので、却ってふさふさとして加奈子の胸のあたりに垂れ下り効果があった。