Classici giapponesi con furigana
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はる
春
Leggi 春 (はる) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9519 caratteri · 20 schermate
彼女は最後にもう一度妹の喜びに乗じながら、彼等の秘密へ切りこもうとした。が、辰子はその途端に、――姉の唇の動こうとした途端に突然体を伸べるが早いか、白粉を刷いた広子の頬へ音の高いキスを贈った。広子は妹のキスを受けた記憶をほとんど持ち合せていなかった。もし一度でもあったとすれば、それはまだ辰子の幼稚園へ通っていた時代のことだけだった。彼女はこう言う妹のキスに驚きよりもむしろ羞しさを感じた。このショックは勿論浪のように彼女の落ち着きを打ち崩した。彼女は半ば微笑した目にわざと妹を睨めるほかはなかった。
「いやよ。何をするの?」
「だってほんとうに嬉しいんですもの。」
辰子は円卓の上へのり出したまま、黄色い電燈の笠越しに浅黒い顔を赫かせていた。
「けれども始めからそう思っていたのよ。姉さんはきっとわたしたちのためには何でもして下さるのに違いないって。――実は昨日も大村と一日姉さんの話をしたの。それでね、……」
「それで?」
辰子はちょっと目の中に悪戯っ児らしい閃きを宿した。
「それでもうおしまいだわ。」
三
広子は化粧道具や何かを入れた銀細具のバッグを下げたまま、何年にもほとんど来たことのない表慶館の廊下を歩いて行った。