Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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きのう・きょう・あす

昨日・今日・明日

織田 作之助

Leggi 昨日・今日・明日 (きのう・きょう・あす) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.018 caratteri · 24 schermate

Aozora Bunko

が、どこへ行こうとするのか、妻子を探す当てもなく、また、今夜の宿を借りる当てもない。

当てもないままに、赤井はひょこひょことさまようていたが、やがて耳の千切れるような寒さにたまりかねたのか、わずかの温みを求めて、足は自然に難波駅の地下鉄の構内に向いた。

そして構内に蠢いている浮浪者の群れの中にはいった赤井は、背中に背負っていた毛布をおろしてその中にくるまると、ごろりと横になった。すると、かたわらに顫えていた十位の女の子が、

「おっちゃん、うちも中イ入れて」

と、寄って来た。

「よっしゃ、はいりイ。寒いのンか。さア、はいりイ」

「おおけに、ああ、温いわ。――おっちゃん、うちおなかペコペコや」

「おっさんもペコペコや。パン食べよか」

「おっちゃん、パン持ったはるのン?」

「うん。持ってるぜ」

「ああ、ほんまに。うちに一口だけ噛らせて」

「一口だけ言わんと、ぎょうさん(沢山)食べ!」

ほろりとした声になった。女の子は夢中になって、ガツガツと食べると、

「おっちゃん、うちミネちゃん言うねん。年は九つ」

いじらしい許りの自己紹介だった。

「ふーん。ミネちゃんのお父つぁんやお母はんは……?」