Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひるのはなび

昼の花火

山川 方夫

Leggi 昼の花火 (ひるのはなび) di 山川 方夫 (やまかわまさお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7030 caratteri · 15 schermate

Aozora Bunko

「みんな、元気ね」

間の抜けたことをいう。彼は思った。

グラウンドに、白い線が飛び交っている。その速い白球の線で結びあって、声をかけ激励しあう若々しいナインを、だが、彼は強烈な光のように感じていた。目を細め、眉をしかめるようにして、それを見ていた。

青年の、その健やかな若さが、急に眩しかった。全身での運動に、彼は渇いていた。

「絶好の野球日和、か」

ごまかすようにいって、みんな、元気ねと女の言葉を口の中で真似した。

「ねえ」

そのとき、女が囁くようにいった。

「……あなた、何故もっと私に甘えてみなかったの」

肩がさわっていた。円いその肩に吊られたスリップの細い紐が、白い絹ブラウスに透けて見える。――盛夏だ。感じて、彼は目をそらした。

香水と汗の匂いとが混りあって、女の体臭がなまなましく彼を包んでくる。が、反射的にそれから身をはなそうとする自分が、いまはひどく憤ろしいのだ。

背を反らした姿勢の、あの子供っぽい快さを、僕は、いつまでも後生大切にかかえこんで行くつもりだろう。

カーン。

そのとき、白球が三遊間を抜いた。ヒットだ。

打者は一塁を廻り、帽子を飛ばして二塁へと突進する。