Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぎゃっこう

晩年

太宰 治

Leggi 晩年 (ぎゃっこう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 44.459 caratteri · 91 schermate

Aozora Bunko

いいじゃないか。

――おれは百姓だ。甘えられて、腹がたつ。

私は百姓の顔を見直した。短い角刈にした小さい頭と、うすい眉と、一重瞼の三白眼と、蒼黒い皮膚であった。身丈は私より確かに五寸はひくかった。私は、あくまで茶化してしまおうと思った。

――ウイスキイが呑みたかったのさ。おいしそうだったからな。

――おれだって呑みたかった。ウイスキイが惜しいのだ。それだけだ。

――君は正直だ。可愛い。

――生意気いうな。たかが学生じゃないか。つらにおしろいをぬたくりやがって。

――ところが僕は、易者だということになっている。予言者だよ。驚いたろう。

――酔ったふりなんかするな。手をついてあやまれ。

――僕を理解するには何よりも勇気が要る。いい言葉じゃないか。僕はフリイドリッヒ・ニイチェだ。

私は女給たちのとめて呉れるのを、いまかいまかと待っていた。女給たちはしかし、そろって冷い顔して私の殴られるのを待っていた。そのうちに私は殴られた。右のこぶしが横からぐんと飛んで来たので、私は首筋を素早くすくめた。十間ほどふっとんだ。私の白線の帽子が身がわりになって呉れたのである。