Classici giapponesi con furigana
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ばんきく
晩菊
林 芙美子
Leggi 晩菊 (ばんきく) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.998 caratteri · 32 schermate
明るい太陽の下では、老年の女のみじめさをようしゃなく見せつけられる。如何なる金のかかった服飾も天日の前では何の役にもたたない。陽蔭の花で暮す事に満足であったし、きんは趣味として小説本を読む事が好きであった。養女を貰って老後の愉しみを考えてはと云われる事があっても、きんは老後なぞと云う思いが不快であったし、今日まで孤独で来た事も、きんには一つの理由があるのだった。――きんは両親がなかった。秋田の本庄近くの小砂川の生れだと云う事だけが記憶にあって、五ツ位の時に東京に貰われて、相沢の姓を名乗り、相沢家の娘としてそだった。相沢久次郎と云うのが養父であったが、土木事業で大連に渡って行き、きんが小学校の頃から、この養父は大連へ行きっぱなしで消息はないのである。養母のりつは仲々の理財家で、株をやったり借家を建てたりして、その頃は牛込の藁店に住んでいたが、藁店の相沢と云えば、牛込でも相当の金持ちとして見られていた。その頃神楽坂に辰井と云う古い足袋屋があって、そこに、町子と云う美しい娘がいた。この足袋屋は人形町のみょうが屋と同じように歴史のある家で、辰井の足袋と云えば、山の手の邸町でも相当の信用があったものである。