Classici giapponesi con furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Leggi 暦 (こよみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.332 caratteri · 112 schermate
「さあ、寝た寝た!」
まるで号令である。八畳の間いっぱいに敷いた布団の中で子供たちは喧々ごうごうをいつまでもつづける。
「無言!」
いねは次の間からまた号令をかける。ぶちきったようにひっそりとなる。やがて、
「しゃ言」
と、子供の中の誰かがいって、先刻の喧々の時いい残したことをしゃべりかかる。いねはその方へ顔を向け、
「ようし、誰じゃしゃ言は」
今にも立ってきそうに聞えるいねの言葉に子供たちはいそいで布団を引っかぶり、やがてすう、すうと寝静まってゆく。
いねはようやく自分のからだになる。朝から始めて腰を落ちつけてランプの芯をかきたて、一寸三針にせっせと針を運ぶ。昼間は工場に働きに出る重吉も夜は家でおそくまで弟子を相手に仕事をした。とことん、とことん、とんことんとん、と拍子でもとっているように仕事場で樽を叩く音が太鼓のように地続きの荒神様の森へ響きわたる。重吉の樽屋としての腕は近郷に知られ、海を隔った四国の方から弟子入りをしてくる者さえあった。重吉の結った盥でも桶でも輪が切れん限り何年経っても水が洩らない。つねづねは使わないすしはんぼなどは重吉に拵えてもらわねば狂いが来る。