Classici giapponesi con furigana
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つきとてぶくろ
月と手袋
江戸川 乱歩
Leggi 月と手袋 (つきとてぶくろ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 80 schermate
むろん、あの夜のウィスキーではない。克彦はあれ以来、なぜかジョニー・ウォーカーを愛飲するようになっていた。あけみも心配になると見えて、その席へやって来た。だが、それは、股野の妻であった彼女として、至極当然のことでもあった。
「やっぱりこの部屋をお使いですか。気味がわるくはありませんか」
花田警部が、ジロジロと部屋の中を見廻して、笑いながら云った。
「別にそうも感じませんね。僕は股野君のように、人をいじめませんから、この部屋にいたって、あんな目に会うこともないでしょうからね」
克彦も微笑していた。
「奥さんもよかったですね。北村さんのようなうしろ楯ができて、かえってお仕合せでしょう」
「なくなった主人には悪いのですけれど、あたし、あの人と一緒にいるのが、なんとも云えないほど苦しかったのです。ご存知のような憎まれものでしたから」
「ハハハハハ、奥さんはほんとうのことをおっしゃる」警部はほがらかに笑って、「ところで、おふたりは結婚なさるのでしょうね。世間ではそう云っていますよ」
克彦はこんな会話が、どうも普通でないような気がしたので、話題を変えた。
「そういう話は、しばらくお預けにしましょう。