Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つきよとめがね

月夜と眼鏡

小川 未明

Leggi 月夜と眼鏡 (つきよとめがね) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.

N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 3679 caratteri · 8 schermate

Aozora Bunko

おばあさんは、いま自分はどこにどうしているのすら、思い出せないように、ぼんやりとして、夢を見るような穏やかな気持ちですわっていました。

このとき、外の戸をコト、コトたたく音がしました。おばあさんは、だいぶ遠くなった耳を、その音のする方にかたむけました。いま時分、だれもたずねてくるはずがないからです。きっとこれは、風の音だろうと思いました。風は、こうして、あてもなく野原や、町を通るのであります。

すると、今度、すぐ窓の下に、小さな足音がしました。おばあさんは、いつもに似ず、それをききつけました。

「おばあさん、おばあさん。」と、だれか呼ぶのであります。

おばあさんは、最初は、自分の耳のせいでないかと思いました。そして、手を動かすのをやめていました。

「おばあさん、窓を開けてください。」と、また、だれかいいました。

おばあさんは、だれが、そういうのだろうと思って、立って、窓の戸を開けました。外は、青白い月の光が、あたりを昼間のように、明るく照らしているのであります。

窓の下には、脊のあまり高くない男が立って、上を向いていました。男は、黒い眼鏡をかけて、ひげがありました。