Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もくばはまわる

木馬は廻る

江戸川 乱歩

Leggi 木馬は廻る (もくばはまわる) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9819 caratteri · 20 schermate

Aozora Bunko

そうして、お冬の喜ぶ顔を見て、真から感謝をされて、一緒に御飯でもたべたら……ああ、今俺には、ただ決心さえすれば、それがなんなく出来るのだ。ああ、どうしよう、どうしよう。

と、格二郎は、その月給袋を胸のポケット深く納めて、その辺をうろうろと行ったり来たりするのであった。

「アラ、いやなおじさん。こんな所で何をまごまごしてるのよ」

それが仮令安白粉にもせよ。のびが悪くて顔がまだらに見えるにもせよ。兎も角、お冬がお化粧をして、洗面所から出て来たのを見ると、そして、彼にしては胸の奥をくすぐられる様なその声を聞くと、ハッと妙な気になって、夢の様に、彼はとんでもないことを口走ったのである。

「オオ、お冬坊、今日は帰りに、あのショールを買ってやるぞ。俺は、ちゃんと、そのお金を用意して来ているのだ。どうだ。驚いたか」

だが、それを云って了うと、外の誰にも聞えぬ程の小声ではあったものの、思わずハッとして、口を蓋したい気持だった。

「アラ、そうお、どうも有難う」

ところが、可憐なお冬坊は、外の娘だったら、何とか常談口の一つも利いて、からかい面をしようものを、すぐ真に受けて、真から嬉しそうに、少しはにかんで、小腰をかがめさえしたものだ。