Classici giapponesi con furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Leggi 木魂 (すだま) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.668 caratteri · 46 schermate
その瞬間に彼は、眼も遥かな下の線路に大の字形にタタキ付けられている彼自身の死骸を見下したかのように、魂のドン底までも縮み上らせられたのであったが、それでもなお死物狂いの努力で踏みこたえつつ大切な鞄を抱え直さなければならなかった。
「あぶない。お父さん……お父さアン……」
と叫ぶ太郎の声を、すぐ頭の上で聞きながら……。
……堤の上に登ったら、直ぐに太郎を抱き締めてやろう。気の済むまで謝罪ってやろう……。そうして家に帰ったら、妻の位牌の前でモウ一度あやまってやろう……。
そう思い詰め思い詰め急斜面の地獄を匐い登って来た彼は……しかし……平たい、固い、砂利だらけの国道の上に吾児と並んで立つと、もうソンナ元気は愚かなこと、口を利く力さえ尽き果てていることに気が付いた。薄い西日を前にして大浪を打つ動悸と呼吸の嵐の中にあらゆる意識力がバラバラになって、グルグルと渦巻いて吹き散らされて行くのをジイーッと凝視めて佇んでいるうちに、眼の前の薄黄色い光りの中で、無数の灰色の斑点がユラユラチラチラと明滅するのを感じていた。それからヤット気を取り直して、太郎に鞄を渡しながら、幽霊のようにヒョロヒョロと歩き出した時の心細かったこと……。