Classici giapponesi con furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Leggi 木魂 (すだま) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.668 caratteri · 46 schermate
そのうちに全身を濡れ流れた汗が冷え切ってしまって、タマラナイ悪寒がゾクゾクと背筋を這いまわり初めた時の情なかったこと……。
彼は山の中の一軒屋に帰ると、何もかも太郎に投げ任せたまま直ぐに床を取って寝た。そうしてその晩から彼は四十度以上の高い熱を出して重態の肺炎に喘ぎつつ、夢うつつの幾日かを送らなければならなかった。
彼はその夢うつつの何日目かに、眼の色を変えて駈け付けて来た同僚の橋本訓導の顔付を記憶していた。その後から駈け付けて来た巡査や、医者や、村長さんや、区長さんや、近い界隈の百姓たちの只事ならぬ緊張した表情を不思議なほどハッキリ記憶していた。のみならずそれが太郎の死を知らせに来た人々で……。
「コンナ大層な病人に、屍体を見せてええか悪いか」
「知らせたら病気に障りはせんか」
といったような事を、土間の暗い処でヒソヒソと相談している事実や何かまでも、慥かに察しているにはいた。けれども彼は別に驚きも悲しみもしなかった。おおかたそれは彼の意識が高熱のために朦朧状態に陥っていたせいであろう。ただ夢のように……。
……そうかなあ……太郎は死んだのかなあ……俺も一所にあの世へ行くのかなあ……。