Classici giapponesi con furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Leggi 木魂 (すだま) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.668 caratteri · 46 schermate
ところで彼は、そんな山歩きの途中で、雑木林の中なんぞに、思いがけない空地を発見する事がよくあった。それは大抵、一反歩か二反歩ぐらいの広さの四角い草原で、多分屋敷か、畠の跡だろうと思われる平地であったが、立木や何かに蔽われているために幾度も幾度も近まわりをウロ付きながら、永い事気付かずにいるような空地であった。そのまん中に立ちながら、そこいら中をキョロキョロ見まわしていると、山という山、丘という丘が、どこまでもシイーンと重なり合っていて、彼を取囲む立木の一本一本が、彼をジイッと見守っているように思われて来る。足の下の枯葉がプチプチと微かな音を立てて、何となく薄気味が悪くなる位であった。
そんな処を見付けると彼は大喜びで、その空地の中央の枯草に寝ころんで、大好きな数学の本を拡げて、六ヶしい問題の解き方を考えるのであった。むろん鉛筆もノートも無しに空間で考えるので、解き方がわかると、あとは暗算で答を出すだけであったが、両親から呼ばれる気づかいは無いし、隣近所の物音も聞こえないのだから、頭の中が硝子のように澄み切って来る。それにつれて家ではどうしても解けなかった問題が、スラスラと他愛もなく解けて行くので、彼はトテモ愉快な気持になって時間の経つのを忘れていることが多かった。