Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さっぽろまで

札幌まで

寺田 寅彦

Leggi 札幌まで (さっぽろまで) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6545 caratteri · 14 schermate

Aozora Bunko

羊は朝から晩まで草を食うことより外に用がないように見える。草はいくら食ってもとても食い切れそうもないほど青々と繁茂しているのである。食うことだけの世界では羊は幸福な存在である。

六日の朝札幌を立った。倶知安で買った弁当の副食物が、物理的には色々ちがった物質を使ってあるがどれにも味というものが欠けていた。この線路は一体に弁当がよくないので有名だという話である。この辺から汽車の音がサッポロクッチャンというように聞え出して、いつまでもそう聞えるのであった。

帰路の駒ヶ岳には虹が山腹にかかって焼土を五彩にいろどっていた。函館の連絡船待合所に憐れな妙齢の狂女が居て、はじめはボーイに白葡萄酒を命じたりしていたが、だんだんに暴れ出して窓枠の盆栽の蘭の葉を引っぱったりして附添いの親爺を困らせた。それからしゃがれた声で早口に罵りはじめ、同室の婦人を指しては激烈に挑戦した。何を云っているかは聞取れない。巡査と駅員に守られて一旦乗船したが出船間際に連れ下ろされて行った。ついさっき暴れていたとは別人のようにすごすごと下りて行った後姿が淋しかった。

札幌から大勢の警官に見送られて二十人余り背広服の壮漢が同乗したのが、船でもやはり一緒になった。