Classici giapponesi con furigana
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とうかいどうごじゅうさんつぎ
東海道五十三次
岡本 かの子
Leggi 東海道五十三次 (とうかいどうごじゅうさんつぎ) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.849 caratteri · 28 schermate
老婢が「とろろ汁が出来ました」と運んで来た。別に変った作り方でもなかったが、炊き立ての麦飯の香ばしい湯気に神仙の土のような匂いのする自然薯は落ち付いたおいしさがあった。私は香りを消さぬように薬味の青海苔を撒らずに椀を重ねた。
主人は給仕をする老婢に「皆川老人は」「ふじのや連は」「歯磨き屋は」「彦七は」と妙なことを訊き出した。老婢はそれに対して、消息を知っているのもあるし知らないのもあった。話の様子では、この街道を通りつけの諸職業の旅人であるらしかった。主人が「作楽井さんは」と訊くと
「あら、いま、さきがた、この前を通って行かれました。あなた等も峠へかかられるなら、どこかでお逢いになりましょう」
と答えた。主人は
「峠へかかるにはかかるが、廻り道をするから――なに、それに別に会い度いというわけでもないし」
と話を打ち切った。
私たちが店を出るときに、主人は私に「この東海道には東海道人種とでも名付くべき面白い人間が沢山いるんですよ」と説明を補足した。
細道の左右に叢々たる竹藪が多くなってやがて、二つの小峯が目近く聳え出した。天柱山に吐月峰というのだと主人が説明した。