Classici giapponesi con furigana
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
Leggi 松林蝙也 (まつばやしへんや) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.092 caratteri · 25 schermate
けれど駄目です、先生には常住坐臥、いささかも隙というものがありません、現にさっきも……今度こそと思ったのにやはり失敗でした、とても我々の力で先生に参ったと云わせることはできないでしょう。――といってこのまま、便々としていれば先生も人間です、どんなことであなたの身に過ちがないともいえません。それを考えると拙者は堪らない、我慢ができないのです、――お町どの、逃げてください、山根道雄も武士、どこへ行こうと決してあなたに不自由はさせません、家の妻として立派に」
「お止めください、お止めくださいまし!」
町の肯かぬ気がむらむらと燃えてきた。――彼女は山根を好きも嫌いもしていない、むしろ今までは、妾などという卑しい境涯から脱けられるなら、そしてもし山根の純な愛情が本当であるなら、それを受容れてもよいと思ったことさえある。けれど男子として蝙也にはとても敵わぬと云い、一緒に逃げてくれとまで弱音をあげるのを見ると、蝙也にさえ感じたことのない嫌悪と蔑みの情に襲われたのだ。
「お話の仔細はよく分りました、けれどそれはお断り申します」
「断る? どうして、どうしてです」
「わたくしは三年分のお給金をもう家のほうへ頂いてあるのです。