Classici giapponesi con furigana
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
Leggi 松林蝙也 (まつばやしへんや) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.092 caratteri · 25 schermate
二
そんな暴々しいことまで考え詰めながら町は泣いていたのであった。
「こっちへ向いて御覧、――」
やがて蝙也が云った。
「改めて訊くまでもないが、おまえ家へ帰りたいのであろう、どうだ」
「――――」
「蝙也の側にいるのが嫌なのだな」
町は答えなかった。
二
「そのくらいのことが分らぬ蝙也ではない、おまえが何を悲しんでいるか、何を怨んでいるか俺はよく知っている、――町、おまえ側女になったことで蝙也を憎んでいるだろう」
「…………」
町はぎょっとして息をのんだ。
「そう、憎むのが当然かも知れぬ。けれど、――いや」
と蝙也は何か云おうとして止め、急に言葉を改めて云った。
「ではここで相談をしよう、おまえはいつでも俺の側にいる、俺にどんな油断があってもおまえには分るはずだ、よいか、――その油断を狙って俺を驚かせて見ろ、見事に蝙也をあっと云わせたら、三年分の給金を倍増しにして、即座に暇をくれてやる、どうだ」
「それは……本当でござりますか」
「戯れにこんなことは云わぬ、よかったらいますぐからでも狙うがよい」
町は期するところあるように頷いた。
幸いまだ体も清いままである。今のうちに身の自由が得られれば、希望のある生涯へ還れるかも知れない。