Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ざくろ

柘榴

山本 周五郎

Leggi 柘榴 (ざくろ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.342 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

真沙は夕餉もとらずに待った。十二時に下女を寐かし、幾たびも迷ったのち、二時の鐘を聞いたので、常着のまま自分も夜具の中へはいった。――厨を開ける下女のけはいで眼がさめると、もういつか夜が明けていた。すぐに起きて、そっと良人の居間へいってみたが、もちろん姿もみえないし、帰った様子もなかった。

「どうなすったのかしら」

さすがに不安になって、こう呟きながら廊下へ出ると、そこに封書の置いてあるのが眼にとまった。真沙は危険な物をでもみつけたようにぎょっとし、五拍子ばかり怯えたような眼で眺めていたが、やがてすばやく手に取ると、人眼を恐れるように自分の部屋へいって坐った。……それは昌蔵から彼女に宛てた告白と謝罪の手紙だった。

――自分がなにをしたかということは、すぐわかるだろうから此処には記さない。そういう書きだしであった。自分は松室の家をむかしの位地に復そうと努力した。然しそれは家名や自分の出世のためよりも、それに依って真沙を中老職の夫人にし、物質的にも精神的にも恵まれた生活をさせてやりたかったからだ。自分には真沙を幸福にすることの他になんの野心もなかった。どうかこれだけは信じて貰いたい、自分はただ真沙を仕合せにしたかったのだということを。