Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かきのたね

柿の種

寺田 寅彦

Leggi 柿の種 (かきのたね) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.202 caratteri · 139 schermate

Aozora Bunko

(大正十年十二月、渋柿)

*

宿屋や料理屋などの広告に、その庭園や泉石の風景をペンキ絵で描いた建て札のようなものが、よく田舎の道ばたなどに立ててある。

たとえば、その池などが、ちょっとした湖水ぐらいはありそうに描かれているが、実際はほんの金魚池ぐらいのものであったりする。

ああいう絵をかく絵かきは、しかし、ある意味でえらいと思う。

天然を超越して、しかもまたとにかく新しい現実を創造するのだから。(大正十年十二月、渋柿)

*

暮れの押し詰まった銀座の街を、子供を連れてぶらぶら歩いていた。

新年用の盆栽を並べた露店が、何軒となくつづいている。

貝細工のような福寿草よりも、せせこましい枝ぶりをした鉢の梅よりも、私は、藁で束ねた藪柑子の輝く色彩をまたなく美しいものと思った。

まんじゅうをふかして売っている露店がある。

蒸籠から出したばかりのまんじゅうからは、暖かそうな蒸気がゆるやかな渦を巻いて立ちのぼっている。

私は、そのまんじゅうをつまんで、両の掌でぎゅっと握りしめてみたかった。

そして子供らといっしょにそれを味わってみたいと思った。