Classici giapponesi con furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Leggi 柿の種 (かきのたね) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.202 caratteri · 139 schermate
先生の「虞美人草」の中に出て来るヴォラプチュアスな顔のモデルがすなわちこれであるかと思われる。
いつか、上野の音楽会へ、先生と二人で出かけた時に、われわれのすぐ前の席に、二十三、四の婦人がいた。
きわめて地味な服装で、頭髪も油気のない、なんの技巧もない束髪であった。
色も少し浅黒いくらいで、おまけに眼鏡をかけていた。
しかし後ろから斜めに見た横顔が実に美しいと思った。
インテリジェントで、しかも優雅で温良な人柄が、全身から放散しているような気がした。
音楽会が果てて帰路に、先生にその婦人のことを話すと、先生も注意して見ていたとみえて、あれはいい、君あれをぜひ細君にもらえ、と言われた。
もちろんどこのだれだかわかるはずもないのである。
その後しばらくたってのはがきに、このあいだの人にどこかで会ったという報告をよこされた。全集にある「水底の感」という変わった詩はそのころのものであったような気がする。
「趣味の遺伝」もなんだかこれに聯関したところがあるような気がするが、これも覚えちがいかもしれない。
それはとにかく、この問題の婦人の顔がどこかレニのマリアにも、レーノルズの天使や童女にも、ロゼチの細君や妹にも少しずつ似ていたような気がするのである。