Classici giapponesi con furigana
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かきいろのかみふうせん
柿色の紙風船
海野 十三
Leggi 柿色の紙風船 (かきいろのかみふうせん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.032 caratteri · 28 schermate
「いいえ」
小僧さんは悲しいことを云った。
私はガッカリして、立ち上る元気もなかった。そのとき奥から番頭らしいのが、声をかけた。
「吉松。さっき、あすこから来たのがあるじゃないか。あれを御覧に入れなさい」
「ああ、そうでしたネ。……少々お待ち下さい。今日入った分がございましたから」
「今日入ったのですか。ああ、そうですか」
私は悦びに飴のように崩れてくる顔の形を、どうすることも出来なかった。小僧さんは、大きいハトロン紙の包みをベリベリと剥いた。
「これは如何さまで……」
「ああ――。」
私は一と目で、柿色の紙風船が重なっているところを見付けた。
「あ、こいつはお誂え向きだ。こいつを買いましょう。」
私は十円紙幣を抛り出して、沢山の風船を買った。小僧さんが包んでくれる間も、誰かが邪魔にやって来ないかと、気が気じゃなかった。だがそれは杞憂にすぎなかった。
私は風船の入った包みをぶら下げて、店を出た。ところが店の前を五六間行くか行かないところで、私はギョッとした。私の顔見知りの男が、向うから歩いて来るのである。それは帆村という探偵に違いなかった。
(これは――)と咄嗟に私は決心を固めたが、幸いにも帆村探偵は、並び並んだ玩具問屋の看板にばかり気をとられて歩いているらしかった。