Classici giapponesi con furigana
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くわのきものがたり
桑の木物語
山本 周五郎
Leggi 桑の木物語 (くわのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.815 caratteri · 79 schermate
兄は幾らかぼけているみたように温和しくて、学校へ行け「はい」剣術をやれ「はい」、勉強しろ「はい」食事だ、寝ろ、起きろ、――一日じゅうはいはいと云いなり放題になっていた。こっちはどうしたってそんなぐあいにはいかない、自分でもたまにはおちついていようと思うけれども、少しながく坐っていると眠くなるか、耳の中で蝉が鳴くような気持になる。手足がむずむずし始め、躯のそこらが痒くなって、つい知らず外へとびだしてしまうのである。
「悠二郎が来てから家の中がめちゃめちゃになってしまった」
父はよくこう云って眉をしかめた。慥かにそうらしいが、責任がどっちにあるかは問題だと思う。なにしろ此処は浅草の家と違って、大川もなければ舟もなし、見世物も草の原も砂利山もなんにもない。庭はあることはあるが、へんてこな石だの芝生だの植込だの池だの、苔のついた石燈籠だの、それぞれが尺で計ったようにきっちりと、いやによそよそしく配置してあって、木の枝ひとつ折っても「こらっ」とどなられる。
「その枝はそこの樹蔭を生かすために伸ばしてあったのだ、それを折ってはまるでみられなくなるではないか、おろか者」