Classici giapponesi con furigana
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さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
Leggi 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.569 caratteri · 222 schermate
行く行くはこの空地へ新しい座敷を建増そうと思うという計画などを捨吉に話して聞かせた。それからまた自分の事業の話などもして、大勝の大将と共同で遠からず横浜の方にある商店を経営しようとしていることなどを話した。
何かにつけて主人は捨吉の若い心を引立てようとするように見えた。この「小父さん」が好い時代に向いつつあることは捨吉の身にとっても何より心強い。八年以来煩い煩いしていた細君が快くなったというだけでも大したことであるのに、家はますます隆盛な方だし、出入するものも多くなって来たし、好い事だらけだ。主人の眼は得意に輝いて見える時だ。その眼はまたいろいろな物を言った。「小父さんが苦しかった時代のことに比べて見よ。捨吉、貴様はこういう家屋と庭園を自分のものとして住むということを何とも思わないか。書生を置き、女中を使い、人は『田辺さん、田辺さん』と言って頼って来るし、髪結の娘で芸を商売にするものまで出入することを誉のようにして小父さんが脱いだ着物まで畳んでくれるということを何とも思わないか。小父さんの指に光る金と宝石の輝きを見ても何とも思わないか。捨吉、捨吉、どうして貴様はそうだ――何故小父さんの後へ随いて来ないか」