Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なしのみ

梨の実

小山内 薫

Leggi 梨の実 (なしのみ) di 小山内 薫 (おさないかおる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2856 caratteri · 6 schermate

Aozora Bunko

足柄山の熊がお入用だとあれば、直ぐここで足柄山の熊をお椀にして差し上げます……」

すると見物の一人が、大きな声でこう叫りました。

「そんなら爺い、梨の実を取って来い。」

ところが、その時は冬で、地面の上には二三日前に降った雪が、まだ方々に白く残っているというような時でしたから、爺さんはひどく困ったような顔をしました。この冬の真最中に梨の実を取って来いと言われるのは、大江山の鬼の酢味噌が食べたいと言われるより、足柄山の熊のお椀が吸いたいと言われるより辛いというような顔つきをしました。

爺さんは暫く口の中で、何かぶつぶつ言ってるようでしたが、やがて何か考えが浮んだように、俄にニコニコとして、こう申しました。

「ええ。畏りました。だが、この寒空にこの土地で梨の実を手に入れる事は出来ません。併し、わたくしは今梨の実の沢山になっているところを知っています。それは」

と空を指さしまして、

「あの天国のお庭でございます。ああ、これから天国のお庭の梨の実を盗んで参りますから、どうぞお目留められて御一覧を願います。」

爺さんはそう言いながら、側に置いてある箱から長い綱の大きな玉になったのを取り出しました。