Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かんおけのはなよめ

棺桶の花嫁

海野 十三

Leggi 棺桶の花嫁 (かんおけのはなよめ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.845 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

ミチミの蝋細工のような白い面を見ていると、杜は不図思いついて、彼女の鏡台を棺の脇に搬んできた。そして一世一代の腕をふるって、ミチミの死顔にお化粧をしてやった。

白蝋の面の上に、香りの高い白粉がのべられ、その上に淡紅色の粉白粉を、彼女の両頬に円らな瞼の上に、しずかに摺りこんだ。そして最後に、ミチミの愛用していたルージュをなめて、彼女のつつましやかな上下の唇に濃く塗りこんだ。

ミチミはいきいきと生きかえったように見えた。真赤な長襦袢と、死化粧うるわしい顔とが互に照り映えて、それは寝棺のなかに横たわるとはいえ、まるで人形の花嫁のようであった。ミチミは寝棺のなかに入って、これから旅立つ華やかなお嫁入りを悦ぶものの如く、口辺に薄笑さえ湛えているのであった。

杜は惚れ惚れと、棺桶の花嫁をいつまでも飽かず眺めていた。――

この静かな家の中の出来ごとを、村の人々がハッキリ知ったのは、次の日の昼下りのことであった。杜は自ら梁の下に縊れていた。

人々の騒ぎを他処にして、床の間の大きな花瓶に活けてあった桜の花が、一ひら二ひら静かに下に散った。