Classici giapponesi con furigana
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しいのき
椎の木
豊島 与志雄
Leggi 椎の木 (しいのき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.870 caratteri · 52 schermate
凡ては無限で、宇宙の中に何一つ有限なものはない。だから、どんな研究でも、ある範囲内に止めなければ、永久に完成の期はない、とそういうんです。僕の研究も、もうほぼ完成している、とそういうんです。然しそれは、研究者としては卑怯な態度です。現に、僕の研究を邪魔してる奴がいる。僕の一番嫌いな奴がいる。現実にいる。そいつを一枚とれば、それでいいんです。それから先は架空なもので、想像によるものだから、そこで範囲をきめればいいわけです。もう一歩のところです……。」
良一は少しまいった。好きな方はどうかとききたかったが、どんなことになるか分らないので、黙っていた。青年は一人で饒舌った。間をおいて、考え考え、ただ自分の意見を述べるだけで満足して、良一の意見は求めなかった。
池の端から切通し下へ出て、その向うのこみ入った裏通りの、小さな家の前に、青年は立止った。表に「御仕立物」という看板がかかっていた。
「ここです。」
青年は格子戸をあけて、良一を中に迎え入れた。それから自分一人上っていった。良一はあっけにとられて、障子のかげに、土間に立って、待った。
三
六畳ほどの茶の間で、長火鉢の向うに、肩のほっそりした女が縫物をしていた。