Classici giapponesi con furigana
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しいのき
椎の木
豊島 与志雄
Leggi 椎の木 (しいのき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.870 caratteri · 52 schermate
そしてただ一目茂樹に会いたいと、始終探しているのだった。
云うことは正しく、調子は鄭重で、態度は卑屈だった。僕は変にちぐはぐな印象を受けて、初めの反感が消えなかった。それで思いきって――そうでなくとも僕の性質としては同じことをしたろうが――茂樹親子の境遇をぶちまけ、茂樹の精神状態まで話してきかした。
「どうしても、逢ってはいけないものでございましょうか。」と彼は云った。
「時機があると思います。その時が来たら僕が取計らってあげましょう。ただ、今すぐはいけません。」と僕は云いきった。
その時の僕の態度を、小鈴はあとで、まるで裁判官のようだと云った。然し僕は、彼の過去の行為を責める気は少しもなかった。ただ、現在の彼に対して、何かしら腹に据えかねるものがあった。それは殆んど動物的な感情だったかも知れない。
それから一ヶ月ばかり、竹山茂吉からは何の消息もなかった。そして突然、昨日電話があって、今晩、先程のあの料理屋で逢った。
茂樹がもっていったあの拳銃を、君はどう思ったかね。あれは、竹山茂吉から僕に預けた品なんだ。彼はこんな風に云った。
「あの後で、私はいろいろ考えましたが、結局、茂樹に逢うことは到底出来ないような気が致しました。