Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くすのきのはなし

楠の話

豊島 与志雄

Leggi 楠の話 (くすのきのはなし) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.820 caratteri · 22 schermate

Aozora Bunko

人々はどよめいた。見知らぬ男等も皆一度に立ち上った。

背広の男と父とは二、三言挨拶を交わしたらしかった。それから彼は、上衣の内隠しから紙片を一枚出して父に渡した。父はそれに一通り眼を通して、それから先刻の年取った男にそれを差出した。彼はそれを暫く見ていたが、また紙片を父に返した。それから仲間の者等に何か云った。二、三人の男が彼と一寸押問答をしたらしかった。がやがて、彼等は種々な恐ろしい道具を手に取り上げ、蓆を巻き梯子をかついで、ぞろぞろ門の方へ引上げて行った。年取った男が最後に残って父と一、二言交わした。

見知らぬ男等が立ち去ってゆくと、父は改めて背広の男と村人とに挨拶をして、家の方へ皆を連れて行った。其処を去る時、父は一寸楠を見上げた。父の姿は全く元気を失ってしまったかのように痛々しかった。(後で聞いたことだが、背広の男は裁判所から来た者とのことだった。)

皆が立ち去ってしまった後、私は一人楓の幹の後ろに残された。そして何だか家へははいれないような気がした。村の人達や背広の男が家には居た。そしてまた父や母に逢うのも悪いような気がした。

私はその日の夕方まで屋敷のうちに隠れていた。