Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たてごし

楯輿

山本 周五郎

Leggi 楯輿 (たてごし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 8377 caratteri · 17 schermate

Aozora Bunko

あがってきた。

案外すらすらと縁談は纏まり、その年の十一月に祝言の盃がとり交わされた。勘兵衛のむすめは名を松といい、容姿も心ざまもきわめて尋常な、どちらかというと地味すぎるくらいのひとがらだった。祝言の夜のことであったが、与八郎は新しい妻と差向いになるなりかたちを正して、「そなたはいかなる覚悟でおれに仕えて呉れるか」と訊ねた、松は面を伏せたままなかなか答えなかった。「……そなたは大身に育ち、神原はこのとおり小身者である、なまなかなことでは家政の切り盛りもむずかしいと思う、当然この思案はして来たと思うがどうか」重ねてそう訊ねると、松はようやく面をあげ、思いのほかはっきりした言葉で答えた。「……かくべつ覚悟と申すものもございません、父には――水の器にしたがう心でと訓されましたが、できるかぎりその心得でお仕え申したいと存じます」「それだけか」「……はい」そしてまたしずかに面を伏せてしまった。与八郎はもの足りなかった。もっとつきつめた言葉が欲しかったのである、しかしさすがにそれ以上は問い詰めかねて口をつぐんだ。……月日はごく平板に過ぎていった。松はいつとはなく神原家の日常に溶けこみ、貧しい家計にもしぜんと馴れていった。