Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
あの瞬間から、――そばにいるときはもちろん、離れているときでも、絶えず自分に向かって、なにか話しかけているように思われるのであった。
甲斐は宇乃のほうを見た。美しくなった、と彼は思った。宇乃は美しくなった。今年はもう十五歳であるが、二年まえとは見違えるほど娘らしくなっている。まえから背丈も並よりは高く、気性もおっとりとおちついて、かなりおとなびていたのであるが、いまはそのうえに娘らしい匂やかな艶と、未熟ではあるが自然にあふれ出る媚が加わっていた。
宇乃がゆっくりと甲斐を見、そうして、唇と眼で微笑した。
「退屈したか」と甲斐が訊いた。
宇乃はかぶりを振った。その眼はいいえというよりも、たのしゅうございますわ、と云っているようであった。甲斐はまた前方へ眼を向けた。
「金華山も見えない」と甲斐は云った、「九月だというのに、こんなに薄靄の日がつづくのは珍らしいことだ」
宇乃はゆっくりと頷いた。
甲斐はまた宇乃が話しだすのを感じた。宇乃はあの猟の出来事について話しかけている。わたくしおじさまが鹿の角にかけられたとき、お館にいてそれを感じました。ちょうどそのときでしたわ、わたくし胸のここがずきんと痛みましたの。