Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
「ここは冷えるから、私が代りましょう」と丹三郎が云った。
宇乃は「いいえ大丈夫です」と答えた。膝の上に手を重ね、ゆったりと坐って、彼を見る眼は冷やかにおちついていた。丹三郎は少しはなれて片膝をつき、じっと彼女の眼をみつめた。唇がふるえ、額のあたりが白くなった。
「手紙を読んでくれましたか」と彼は云った。
緊張のため、袴をつかんでいる手指が鉤のように曲って硬ばり、その声はふるえた。
宇乃は「はい」と答えた。
「それで」と丹三郎が訊いた。
宇乃は少しも動揺しない眼で、まっすぐに彼を見ながら「わたくし弟がいますから」と答えた。弟の成人をみとどけなければならないし、お咎めを蒙って、原田家に預けられている身の上だから、と宇乃は云った。
「それはわかっています」と丹三郎が云った、「私もまだ十七だし、すぐにというのではない、そのときが来るまで待ちます」
「ではそのときになってからのことに致しましょう」
「どうしてです」
「わけはいま申上げました」
「虎之助さんのことですか」
「それもあり、まだお預けの身の上ですから、お咎めがいつ解けるかわかりませんし、年つきが経つうちには、あなた御自身がどうお変りになるかもしれませんわ」