Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate

Aozora Bunko

「助けて下さい」とおみやは叫んだ。

あらわになった膝を隠し、根のくずれた髪へ手をやりながら「どうぞ助けて下さい」と声かぎり叫んだ。若い侍はそばへ来た。

「どうしたのです」と訊きながら、彼は堤の上を見た。

石川は堤の上からこっちを見ていた。どうしたものか迷っているらしい。若い侍はおみやを見て、いったいどうしたのか、と訊いた。おみやは立ちあがって、肩で息をしながら、ふと眼をみはって「まあ」といった。

「あなたは黒田さんじゃありませんか」

「ええ、黒田ですが」

「お勘定部屋の黒田玄四郎さんでしょ」

若い侍はけげんそうに「貴女は」と訊き返した。

「ああよかった」

おみやは彼の問いには答えずに、堤の上の石川を見やった。そして、観念したらしい兵庫介が、編笠をかぶりながら去ってゆくのを認め、いまの男に掠われるところでしたの、と媚びた眼で相手を見た。

「掠われるとは」

「いきなりとびかかって、駕籠で掠ってゆこうとしたんです、でもよかったわ、あなたが来て下すったので、あぶないところを助かりました」

「貴女は私をどこで知っていたんです」

「そうね、御存じないのがあたりまえですわね」とおみやは嬌めかしいしぐさで、裾前や衣紋を直しながら、斜交いに男を見た、「あたしあなたと同じ屋敷にいますの」