Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate

Aozora Bunko

だり、しばしば狂ったようになることさえあった、七十郎は妻帯したことがないからわからないだろう、こういう情愛の激しい求めは、男にとって苦痛であるよりも、むしろ劫罰のように感じられるものだ、人によって違うかもしれない、世の中には律のような性情の妻と調和する人間があるかもしれない、私も私なりにつとめてみた、しかしとうてい律の満足するところまではついてゆけないし、律のほうでは、その激しい情愛が精神的なものから躰質にまでそだってゆき、いちどその欲求が起こると、どんな方法をもっても制御することができなくなった、これが七十郎にわかるか」

「要するに、それは、そのほうの病気ということですか」

「病気なら治療することができる、律は風邪ひとつひいたことがないほど健康だ」

甲斐は膝の上の手を、組んだままあげて、力なくまた膝の上へおろした。

そして自分が評定役になり、江戸番を勤めるようになった、と甲斐はつづけた。一年の留守、律は国にとどまらなければならない。覚悟はしたが、しぜんと起こって来る欲求を抑えることはできない。律はあらゆる方法をこころみた、東陽寺は原田家の菩提所であるが、その住職を招いて禅の講話をきいたり、薙刀の稽古、断食、ずいぶんいろいろやってみたけれども、良人を求める激しい情欲は、どうしても鎮めることができなかった。