Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
甲斐は眼をあげて戸口を見た。与五兵衛が、片手に鉄砲をさげて、はいって来た。彼は主人を見ると、ゆっくりと頷き、そのまま裏へゆこうとした。それで甲斐が云った。
「いま鉄砲の音がしたぞ」
与五兵衛は立停った。おまえ鉄砲の音を聞かなかったのか、と甲斐が訊いた。与五兵衛は「日観寺の向うの谷地らしい」と答えた。
「みにいかないのか」
「飯を炊きます」と与五兵衛は云った。
銃声は一発きりだし、久兵衛が射ったにしても、一人は自分の父だし、他の一人は嫁にもらう娘の親である。間違いを起こすようなことはないだろう、と口をもぐもぐさせながら云い、鉄砲を八帖の隅へ置いて、裏手へ出ていった。甲斐は手紙へ眼を戻した。
……右の段候あいだ、其許ひましだい二三日ちゅう機嫌伺いのようにここもとへまいるべく候。
そのおりふしつぶさに申すべく候。この書状わきへもれ候えばあしく候条、亀千代乳母がところまで遣わし、いかようにも其方しゅびしだい届け候えと申し遣わし候。返事をも右の段につかまつり候て給わるべく候。謹言。
尚、必ず必ず他へもれ申さざるように相心得申すべく候。尤も二三日ちゅうにここもとへまかり出で候とも、かようわれら書状を遣わし候によってまかり出で候などと備前(品川屋敷家老、大町定頼)へ申されまじく候。