Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
おうれ、もうか、とふじこが云った。なをこは十五になったばかりではないか。早くもおそくもないさ、ときよきが云った。はちざえもんが始まれば誰でもそうなるもんだ。なをこは十四の春だったから、ちょうどくらいのところだろう、ときよきが云った。なをこは身もだえをし、やめておくれ、と泣き声をあげた。するときよきが彼女を指さし、露骨な調子で云った。
「おめえ渡し場の舟小屋を思いだしただな」
「舟小屋だって」とふじこが訊いた。
「東の滝沢へ渡る渡し場さ」ときよきが答えた。
嘘だ、となをこがむきになって云った。なにも知らねえくせに、きよきはでたらめばかり云うだ。おう怒ったか、へえ、そんな顔で太平と舟小屋でなにしただか、ときよきが云った。なをこは両手で耳を塞ぎ、おら知らねえなにも聞かねえ、と身もだえした。
甲斐は盃を持ったまま惘然と炉の火を眺めていた。娘たちの問答は、彼をものかなしいような気分に包んだ。
彼女たちはまだ情欲というものを知ってはいない。やまがに育ったから、あるいはまったくの無垢ではないかもしれないが、情欲の本当のあまさやにがさはまだ知ってはいない筈である。それにもかかわらず、彼女たちは情欲を怖れ、嫌悪し、同時にもっと激しくひきつけられる。