Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
「殿さま、なりませんぞ」
「用はなんだ」と甲斐は隼人を見た。
与五兵衛はなお「殿さま、くびじろはなりませんぞ」と云った。
「おれに構うな」と甲斐は云った。
くびじろはだめです、と与五兵衛は繰り返した。あれは十五歳にもなる豪のもので、これまでに大猪を二頭殺し、熊を一頭傷つけている。どんなに老練な猟師でも、あれにだけは手を出しません。わかってる、と甲斐は云った。
「だが、おれとくびじろの関係も与五はよく知っている筈だ、もうなにも云うな、――隼人、なんの用だ」
「一ノ関からお使者がございました」
「帰国されたのか」
「この月下旬まで仙台に滞在されるそうで、相談したいことがあるから仙台へ来られたい、との口上でございます」
「所労だと云ったろうな」
「申しました」
「なるべくまいるつもりでいるが、所労がぬけないようだったら、一ノ関の館へ参上するといってくれ」
「一ノ関へでございますか」
「そう云ってくれ」
甲斐は立ちあがって、おまえたちも帰れと娘たちに云った。馳走をありがたかった、また来てくれ、そう云って、支度を直しながら、甲斐はまたきよきに呼びかけた。
「くびじろは谷地へはいったか」