Classici giapponesi con furigana
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そり
橇
黒島 伝治
Leggi 橇 (そり) di 黒島 伝治 (くろしまでんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.663 caratteri · 24 schermate
それは吉原だった。将校が云いこめられているようだった。そして、兵卒の方が将校を殴りつけそうなけはいを示していた。そこには咳をして血を咯いている男も坐っていた。
「どうしたんだ、どうしたんだ?」
大隊長は、手近をころげそうにして歩いている中尉にきいた。
「兵卒が、自分等が指揮者のように、自分から戦争をやめると云っとるんであります。だいぶほかの者を煽動したらしいんであります。」中尉は防寒帽をかむりなおしながら答えた。「どうもシベリアへ来ると兵タイまでが過激化して困ります。」
「何中隊の兵タイだ。」
「×中隊であります。」
眼鼻の線の見さかいがつくようになると、大隊長は、それが自分の従卒だった吉原であることをたしかめた。彼は、自分に口返事ばかりして、拍車を錆びさしたりしたことを思い出して、むっとした。
「不軍紀な! 何て不軍紀な!」
彼は腹立たしげに怒鳴った。それが、急に調子の変った激しい声だったので、イワンは自分に何か云われたのかと思って、はっとした。
彼が、大佐の娘に熱中しているのを探り出して、云いふらしたのも吉原だった。
「不軍紀な、何て不軍紀な! 徹底的に犠牲にあげなきゃいかん!」