Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

はしのした

橋の下

山本 周五郎

Leggi 橋の下 (はしのした) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.189 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

一

一

練り馬場と呼ばれるその広い草原は、城下から北へ二十町あまりいったところにある。原の北から西は森と丘につづき、東辺に伊鹿野川が流れている。城主が在国のときは、年にいちどそこで武者押をするため、練り馬場と呼ばれるようになったと伝えられている。

いま一人の若侍が、その草原へはいって来た。月は落ちてしまって見えない、空はいちめんの星であるが、あたりはまだまっ暗で、原の南東にある源心寺の森がひどく遠く、ぼんやりと、墨でぼかしたようにかすんでいた。

「少し早かったな」とその若侍は呟いた、「しかしもうすぐ明けてくるだろう」

彼は周囲を眺め、空を見あげた。年は二十四五歳で、眼鼻だちのきりっとした顔が、寒さのためであろうか、仮面のように硬ばって白く、無表情にみえた。彼は東の空を見やり、それから首を振った。

「いや、そんな筈はない」と彼は呟いた、口は殆んど動かず、誰かほかの者が呟くように聞えた、「間違える筈はない、たしかに七つの鐘を聞いて起きたのだ、たしかに七つだった」

彼は自分をおちつかせようとして、腹に力をいれた。そしてゆっくりと、往ったり来たりし始めた。きっちりとはいた草鞋の下で、冰った土や枯草がみしみしときしみ、そこから寒さがはいあがってきた。