Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate
「ねえ、次郎ちゃん――」
と、恭一はしばらくして、
「僕、やっぱり、母さんなんか来ない方がよかったと思うよ。」
「どうして?」
「みんなが正直でなくなるからさ。母さんが来てから、みんな自分で考えてないことを、言ったり、したりするようになったんだよ。」
「母さんは、そんなにいけない人かなあ。」
「母さんがいけないんじゃないかも知れんさ。だけど、母さんが来るまでは、みんなもっと正直だったんじゃないか。このごろ父さんだって、嘘をつくことが多いぜ。お祖母さんなんか、しょっちゅう嘘ばかりだよ。」
恭一は食ってかかるような調子だった。
「恭ちゃんも嘘をつく?」
「僕は嘘なんかつくもんか。僕、何でも思ったとおりに言ってやるんだ。だから、みんな困るんさ。困ったって、平気だよ。」
次郎には家の中の様子が何もかも想像がつくような気がした。しかし、今の場合、彼にとって大事なのは、そんなことよりも、俊三とお芳との間が実際はどうだかを、はっきり知ることであった。
「じゃあ、俊ちゃんは?」
「俊ちゃん?」
と、恭一はちょっと考えてから、
「俊ちゃんは僕にはよくわかんないや。母さんにわがまま言うのは、わざとじゃないだろうと思うけれど。