Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate

Aozora Bunko

恭一君もその時にはいっしょにやって来い。君にはこれから絵を教えてやる。」

それで徹太郎はまた笑いながら、

「そうれ始まった。恭一君、めったに陥落しちゃいかんぞ。」

大巻の家を出ると、次郎はなぜか急にしょんぼりとなった。県道に出るまでは、二人はいっしょの道だったが、しばらくはどちらからも口をきかなかった。

村はずれに来たころ、恭一が言った。

「大巻の家って、いい家だね。」

「うん。」

「あんな家だと、誰でも正直になれるね。」

次郎は、ちらりと恭一の顔を見ただけで、返事をしなかった。

「次郎ちゃんは、そんな気がしない?」

「するよ。」

「僕たち、今日来たの、よかったね。」

「うん。」

「僕、こないだお祖母さんと来たんだけど、その時はつまんなかったよ。」

「お祖母さんと? 一度っきりかい。」

「そうさ、一度っきりだよ。」

「母さんとは来なかったんかい。」

「ううん。お祖母さんと来たっきりさ。お祖母さんは、僕が母さんと大巻に行くの、嫌いなんだよ。」

「俊ちゃんは?」

「俊ちゃんはもう母さんと何べんも来たんだろう。」

次郎は默りこんだ。恭一はそれに気づくと、あわてたように話頭を転じた。